Web2.0時代の
|
「行動の変化」と「技術の進歩」
昨今、IT業界で話題となっているキーワード「Web2.0」(ウェブにーてんゼロ )は、インターネットで実現できることが、今までとは違うレベルに進歩していることを象徴する概念である。
インターネットが普及を始めてから約10年、インターネットの利用は若者にとって日常の行為となった。総務省の「通信利用動向調査」では、平成17年の時点で婚礼適齢期である20代、30代の利用率が共に90%を超えている。また、インターネット調査会社「ボーダーズ」が昨年の秋に行った調査では全体の89.7%が「商品の情報収集でインターネットを利用している」と回答しており、実店舗(43.4%)に大差をつけている。今やオンラインでの情報収集が顧客の消費に多大な影響を与えることは揺るぎない事実である。
そして、私たちがインターネットにおけるマーケティング戦略を考えるうえで「Web2.0」の概念は欠かせないものになっている。
「Web2.0」において今までとは何が変わり、変わろうとしているのだろうか?
そこでは「行動の変化」と「技術の進歩」が起こっており、相互に作用し合っていると考えられる。
(1)「行動の変化」〜婚礼利用者が作るメディアの影響力。
数年前までインターネットを利用して情報発信ができる人は限られていた。専用ソフトやプログラムを利用できる人である。しかし、現在では技術の進歩によって誰でも閲覧ソフト(ブラウザ)を使って簡単に文字、写真、動画の投稿が可能になった。その結果、今までホームページを見ていただけの人たちに「参加する」という行動の変化が起こった。
結婚式場の評価や感想を投稿できる「口コミサイト」、結婚準備の様子を日記風に綴る「ブログ」、マリエたちが集うインターネットの社交場「SNS」、企業ではなく消費者の側から情報を発信できるメディア(CGM/コンシューマ・ジェネレーテッド・メディア)の誕生である。
現在、ブログの書き手(ブロガー)は約1,000万人と言われており、(株)野村総合研究所によると2011年には書き手が1,800万人、読者が8,000万人に達すると予測されている。
「1人のお客様の後ろには、○人のお客様がいる」。
これはサーヴィスの現場においてよく耳にする言葉だが、「○人」が「○万人」に置き換わろうとしている事実をご存知だろうか?
かつて結婚式の体験談は、式後のごく短い期間に親しい人だけに語られるものだった。しかし今は違う。無料で簡単に、しかも匿名で新郎新婦の体験談や婚礼出席者の感想を公表できるようになった。インターネットに掲載された口コミ情報は、数年間で膨大な人々の目に触れる可能性を得るだろう。
言うまでもなく、口コミは「最強の宣伝」である。また同時に「最悪の宣伝」にもなりうる。
今までにない新たな取り組みが必要になった。積極的に情報収集を行い、攻守の戦略を練らねばならない。
「攻めの戦略」
「攻めの戦略」はインターネットにおける婚礼利用者の口コミを喚起し、自社の販売促進に利用することにある(バイラル・マーケティング)。また、口コミの評判を自社サイトでの表現に生かす(リンクする)ことで、口コミサイト経由で自社のサイトを訪れた顧客に「良い評判は本当だ」と実感させる工夫も有効である。
また自社や競合相手の口コミ評価を収集、分析することは、新商品の企画や新しいサーヴィスを導入する際の参考になる。
「守りの戦略」
インターネットの口コミが自社にとって好意的な内容ばかりであれば何の問題もない。しかし、それが悪い評判であれば、自社のサイトでどれほど洗練されたPRを行っていようと全てが台無しになる。今後は婚礼利用客のクレームに対して今まで以上に敏感で慎重なフォローが必要とされる。そして営業活動に悪影響を及ぼす書き込みが行われた際、迅速に対応できる危機管理が必要である。
(2)「技術の進歩」〜リッチコンテンツが顧客の心をつかむ。
顧客がホームページを見るだけだった時代、企業は自社が発信したい情報だけを掲載すれば良かった。しかし、十数年を経てネットでの顧客の経験は豊富になり、企業サイトに求めるレベルがアップした。もう過去に行った小手先のイメージ戦略は通用しない。「もっと広く、もっと深く、もっと分かりやすく」、顧客は雑誌に載っていない情報を求めてネットにアクセスする。だが現状ではリッチなコンテンツを持つブライダルサイトを見つけるのが難しい。未だに雑誌とネットを同様の広告媒体と考えている企業が多いからである。
Web2.0の時代、私たちはインターネットで何を実現できるようになったのだろうか?
「技術の進歩」がそのヒントになる。
株式会社インプレスR&Dの「インターネット白書2007」によると、2007年の3月の時点でインターネット利用世帯の約8割がブロードバンド(高速な通信回線)を利用しており、利用者数は4,627万人と推計されている。
ブロードバンドの普及によって、映像や音声、グラフィックを利用した表現力が豊かなコンテンツ(リッチコンテンツ)を楽しむことが可能になった。
昨年に話題となった動画投稿サイト「ユーチューブ(YouTube)」は動画の投稿、共有、閲覧が無料で利用できるサイトで、1日に1万本の動画がここに登録(アップロード)されるという。
実際にユーチューブ(YouTube)で結婚式に関する動画を検索すると、個人の結婚式の映像や式場施設を見学した際に撮影した動画もアップロードされていた。
これからは個人利用に留まらず、動画を自社の販売促進に活用するブライダルサイトが増加すると思われる。
リッチコンテンツにおける動画は、多くの企業サイトにあるような写真、文字をベースにした動画(フラッシュムービー)とは一線を画する。
(施設)リッチコンテンツを用いた施設紹介では、式場スタッフが実際に来た人を接客するように音声と映像で会場の紹介を行うことができる。ここでは動画でしか表現できない臨場感で顧客に挙式・披露宴会場の魅力を伝えることができる。
(料理)料理の紹介では料理長が新鮮な素材を選んでいる市場の映像や、婚礼料理かける思いを語ることで顧客の印象に残るメッセージを発信できる。
(サーヴィス)サーヴィスの紹介では演出をはじめ、おもてなしについてスタッフが語ることで顧客にホスピタリティを感じさせる工夫ができる。
(イベント)模擬挙式、模擬披露宴、ブライダルファッションショーなどブライダルフェアで撮影した映像を利用すれば、一年を通じてバーチャルなブライダルフェアを開催することが可能になる。
動画の配信を行う際はパソコンに加えて携帯電話からの閲覧に対応(マルチデバイス)することで、さらにターゲットの裾野を広げることができる。
リッチコンテンツを通じて商品やサービスを十分に見てもらうこと、知ってもらうことが大切である。知れば知るほど、好きになるのが顧客心理である。事前に十分な知識と情報を得て式場見学にやって来るカップルと、なんとなく見に来たカップルとでは、新規成約率に大きな差が出る。
「インターネットから現実の式場見学へ顧客がやって来る時、既に心は決まっている」。そのように顧客を導くことが、Webマーケティング戦略である。
「めでたい.com」WebMaster
小野原 秀一